PR動画・広告動画制作は、企業や店舗の「商品を売りたい」「サービスを知ってほしい」という目的にあわせて、商品紹介・ブランディング・SNS広告などの短い映像を作る仕事です。YouTubeの編集代行と違うのは、「再生数を伸ばす編集」ではなく「人の心を動かして行動させる映像」を作る点。だからこそ単価が高く、編集経験者がステップアップしやすい分野です。
ここでは「営業が苦手でも案件を取れるのか」「未経験から本当に稼げるのか」を、誇張なしの相場データとあわせて正直に書きます。結論から言うと、いきなり高単価は難しいものの、動画編集の基礎がある人なら数か月で月3〜10万円のラインは十分に現実的です。
PR動画・広告動画制作とは
PR動画・広告動画と一口に言っても、用途はさまざまです。代表的なのは次のようなものです。
- 商品・サービス紹介動画:機能や使い方を分かりやすく見せる
- SNS広告動画(縦型):Instagram・TikTok・YouTube Shorts向けの短尺
- ブランディング動画:企業の世界観・理念を伝える
- 採用動画:社員インタビューや職場紹介
- 店舗・施設のPR動画:飲食店・美容室・ジムなどの集客用
いずれも共通するのは「依頼主に明確な目的(売上・集客・認知)がある」こと。視聴維持率を上げるYouTube編集とは評価軸が違い、最後まで見せて行動につなげる構成力・演出力が問われます。撮影は依頼主や撮影担当が用意した素材を使うことも多く、在宅・編集中心で完結する案件も少なくありません。
この仕事の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 5万〜30万円(PC・編集ソフト。手持ちのPCがあれば実質ソフト代のみ) |
| 必要スキル | 動画編集の基礎+構成・演出力。慣れればモーショングラフィックスやAfter Effectsで単価UP |
| 月収目安 | 3万〜10万円(副業)/20万〜50万円(本格化した場合) |
| 難易度 | 中(編集経験があれば参入しやすい。ゼロからだと数か月の学習が必要) |
| 在宅可否 | 編集中心なら在宅で完結。撮影同行する案件は外出あり |
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
|
・動画編集を一度でも経験したことがある ・「どう見せれば伝わるか」を考えるのが好き ・広告やマーケティングに興味がある ・修正対応をこまめにできる |
・指示通りに切るだけで完結したい ・クライアントとのやり取りが苦痛 ・短納期・修正回数の多さに耐えられない ・すぐに高収入を期待している |
収入の現実
PR動画・広告動画は「動画」とひと括りにされがちですが、尺・用途・関わる工程によって単価が大きく変わります。フリーランス・副業の相場感をまとめると次のようになります。
| 案件タイプ | 単価目安(1本) | 補足 |
|---|---|---|
| SNS広告(縦型・15〜30秒)編集のみ | 5,000〜3万円 | 素材支給。数をこなす型 |
| 商品紹介動画(1〜2分) | 1万〜10万円 | テロップ・BGM・簡単な演出込み |
| プロモーション動画(企画込み) | 3万〜30万円 | 構成から関わると単価が上がる |
| 本格制作(企画・撮影・編集一式) | 50万〜100万円 | チーム前提。副業の到達点は先 |
フリーランスの動画編集の時給換算はおおむね3,000〜8,000円が相場です(出典:株式会社FIRST/動画幹事)。同じ「1分の企業紹介動画」でも、フリーランスなら3万円、制作会社なら50万円、広告代理店なら150万円と10倍以上の差が生じることもあります。つまり個人だからこそ「安くて速い」という強みで入り込めるのがこの市場です。
副業ならまず「月3〜10万円」を現実目標に
SNS広告の縦型動画を1本1万円で月5本、商品紹介を月1〜2本——このくらいの組み合わせで月5〜10万円が見えてきます。最初から大型案件を狙うより、小さな実績を積んで「継続発注」をもらう方が安定します。
市場データ:なぜ今この仕事が伸びているのか
「動画はもう飽和している」と言われますが、広告に限ればむしろ拡大が続いています。サイバーエージェントとデジタルインファクトの共同調査によると、2024年の国内動画広告市場は前年比115.9%の7,249億円。2025年は8,408億円、2028年には1兆1,471億円に達すると予測されています(出典:サイバーエージェント 2024年国内動画広告の市場調査)。
なかでも縦型動画広告は2024年に前年比171.1%の900億円へと急成長し、2028年には2,088億円に達する見込みです。スマートフォン向け動画広告は市場全体の79%を占める5,750億円。つまり「縦型・スマホ向けの短い広告動画」を作れる人の需要が、市場の伸びそのものに連動して増えているということです。
発注側の裾野も広がっています。クラウドワークスのIRによると、登録ワーカーは2019年3月の271.2万人から2024年9月には672.2万人へ2.48倍に増えましたが、クライアント数も35.5万社から100.6万社へ2.83倍に増加しています(出典:クラウドワークスIR)。ワーカー1人あたりのクライアント数はむしろ増えており、「広告を作りたい企業」は確実に増えています。
始め方:4ステップ
ゼロから始める場合の現実的な手順です。すでに動画編集の経験がある人はステップ1を飛ばせます。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 基礎を学ぶ | Premiere ProやDaVinci Resolveでカット・テロップ・BGMの基本を習得。1〜2か月 |
| 2. 練習作品を作る | 実在の商品やお店を題材に「自分なら」のPR動画を3〜5本制作。これがポートフォリオになる |
| 3. 案件に応募 | クラウドソーシングやスキルマーケットで縦型広告・商品紹介の小案件から受注 |
| 4. 継続と単価UP | 納品品質と対応の速さで継続発注をもらう。モーショングラフィックスを覚えて単価を上げる |
ポートフォリオは「架空」でいい
実案件がなくても、市販の商品やよく行くお店を題材に「自分が作るならこうする」という練習作品を見せれば十分。発注側は完成形のクオリティを見ているので、実績ゼロでも腕が伝われば受注できます。ただし許可なく企業ロゴを使った作品を公開する際は注意し、ポートフォリオ提示は個別送付にとどめると安全です。
案件の探し方
「営業が苦手」という人ほど、まずはプラットフォーム経由で案件を取るのが現実的です。自分から飛び込み営業をしなくても、応募・出品の形で仕事につながります。
クラウドソーシング・スキルマーケット
案件数が多く、未経験からの実績づくりに向くのがクラウドソーシングとスキルマーケットです。「広告動画」「商品紹介動画」「SNS動画」などで検索すると常に募集があります。
ココナラ
スキル販売の国内最大級プラットフォーム。「SNS用の縦型広告動画を作ります」のように自分の得意分野を出品でき、評価が貯まると指名依頼が増えていきます。初心者でも価格設定を工夫すれば最初の実績を作りやすいのが強みです。
ランサーズ
日本最大級のクラウドソーシング。動画編集・広告動画の案件が豊富で、実績を重ねるほど単価を上げやすい構造です。プロジェクト形式の継続案件も見つかるため、安定した副業収入を目指す人に向いています。
SNS・ダイレクト営業
慣れてきたら、X(旧Twitter)やInstagramで制作実績を発信したり、地元の店舗・中小企業に直接提案したりすると、プラットフォーム手数料のかからない直案件につながります。とくに飲食店・美容室・ジムなどはSNS広告動画の需要が高く、「縦型動画を1本○円で作ります」と具体的に提案すると話が早いです。
必要なソフト・道具
編集ソフトとそこそこのスペックのPCがあれば始められます。無料のDaVinci Resolveでも本格的な編集は可能ですが、広告動画ではテロップ表現やモーショングラフィックスを多用するため、After EffectsやPremiere Proを使えると受注の幅が一気に広がります。
| 道具・ソフト | 価格目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 編集用PC | 10万〜25万円 | 手持ちがあればそのままでOK |
| 編集ソフト | 無料〜月3,280円〜 | DaVinci Resolveは無料、Adobe系は月額 |
| 左手デバイス | 1万〜2万円 | 作業効率化。あると編集が速くなる |
Adobe Creative Cloud
Premiere Pro・After Effectsなどクリエイティブツールがそろうサブスク。広告動画ではテロップアニメーションやモーショングラフィックスの表現力が単価に直結するため、After Effectsを使えるかどうかが受注の分かれ目になります。動画編集をプロ仕様に引き上げたいなら、ここはほぼ必須の投資です。
TourBox NEO(左手デバイス)
ダイヤルとボタンによく使うショートカットを割り当てられる左手デバイス。カット編集やテロップ調整の繰り返し作業が2〜3倍速くなり、本数をこなすSNS広告案件ほど効果が大きいです。動画編集を本格化して「数で稼ぐ」段階に入ったら買い替えを検討する価値があります。
単価を上げる方法
- 企画から関わる:「言われた通り編集」から「構成提案」に踏み込むと単価が数倍になる
- モーショングラフィックスを習得:After Effectsで動くテロップやロゴアニメを作れると差別化できる
- 縦型・SNS広告に特化:市場が最も伸びている領域に絞ると指名されやすい
- 継続契約に育てる:1本納品で終わらせず「毎月○本」の月額契約に持っていく
- 数字で語る:「この構成にすると最後まで見られやすい」と根拠を示せると信頼される
フリーランスとして働くなら備えも
案件が増えてくると、納品物の不備やデータ管理など「もしものトラブル」のリスクもついて回ります。また、報酬の入金は納品から1〜2か月後になることも多く、資金繰りで困る場面もあります。
フリーナンス
フリーランス向けの損害賠償保険+ファクタリングサービス。口座開設は完全無料で、納品物の不備や情報漏えいなど業務トラブルに備える「あんしん補償Basic」が自動付帯します。さらに、急ぎでお金が必要なときは請求書を買い取ってもらって即日入金してもらえる仕組み(手数料3〜10%)も。常用するものではなく「ピンチの時の選択肢」として、副業フリーランスの備えになります。
強みと注意点
| 強み | 注意点 |
|---|---|
|
・市場が拡大中で需要が増えている ・動画編集より単価が高い ・在宅・編集中心で完結する案件も多い ・継続契約に育てれば安定収入になる ・営業が苦手でもプラットフォームで受注できる |
・修正回数が多く、対応力が問われる ・短納期の案件が多い ・成果(売上・集客)を求められプレッシャーがある ・ゼロからだと数か月の学習が必要 ・最初は単価が安く、実績づくりが必要 |
よくある質問
動画編集の経験がなくても始められますか?
始められますが、まずカット・テロップ・BGMといった基礎編集を1〜2か月学ぶ必要があります。完全な未経験からいきなり広告動画の案件を取るのは難しいので、基礎→練習作品→小案件の順で進めるのが現実的です。
YouTube編集代行とどう違うのですか?
YouTube編集が「再生数・視聴維持率を伸ばす編集」なのに対し、PR動画・広告動画は「視聴者を行動(購入・問い合わせ)に導く映像」を作ります。求められるのは構成力・演出力で、その分単価も高くなる傾向があります。
営業が苦手でも案件は取れますか?
取れます。ココナラやランサーズなどのプラットフォームは「応募・出品」の形で受注できるため、飛び込み営業は不要です。実績が貯まれば指名依頼や継続発注が増え、自分から営業しなくても仕事が回るようになっていきます。
AIで動画広告が自動生成される時代でも仕事は残りますか?
AIは素材生成や下書きの効率化には役立ちますが、「依頼主の意図をくみ取って構成を組み、修正に応じる」という部分は人にしかできません。むしろAIで量産された動画が増えるほど、人の手による「伝わる広告」の価値は上がると考えられます。AIを道具として使いこなせる人が有利になる、というのが現実的な見方です。
月どのくらい稼げますか?
副業で月3〜10万円が現実的なラインです。SNS広告の縦型動画を複数本+商品紹介を月1〜2本といった組み合わせで到達できます。本格化して企画から関わったり継続契約を増やせば、月20〜50万円も視野に入りますが、そこに至るには実績と時間が必要です。
副業を始める前に知ってほしいこと
「1日5分で月50万円」「スマホをタップするだけで日給3万円」——こうした誇大広告で高額な情報商材やオンラインサロンを売りつける悪質な業者が後を絶ちません。消費者庁や国民生活センターも繰り返し注意喚起を行っています。当サイトでは、こうした非現実的な謳い文句を一切使わず、現実的な収入や必要な努力を正直に掲載するよう努めています。
不安を感じたら、以下の公的窓口に相談してください(相談無料)。
- 消費者庁 — 財産にかかわる危険(副業・投資詐欺の注意喚起一覧)
- 国民生活センター — 情報商材に関する相談事例
- 消費者ホットライン:188(いやや)に電話すると最寄りの消費生活センターにつながります
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※この記事の情報は2026年5月時点のものです。
参考資料・出典
- サイバーエージェント「2024年国内動画広告の市場調査」(2025年)— 動画広告市場規模・縦型動画・スマホ向け比率
- 株式会社FIRST「動画編集の相場完全ガイド(2026年)」— 動画編集・広告動画の単価相場
- 動画幹事「動画制作の相場・料金」— 制作費の内訳・依頼先別の価格差
- クラウドワークス IR資料— 登録ワーカー数・クライアント数の推移


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